Scroll

日本の伝統的な生薬を栽培し、
その技術を高め、
次世代に残し、
繋ぐことを使命としています。

国内で漢方薬原料となる植物を栽培し、その種苗や栽培技術を確立、継承することは栃本天海堂の使命の一つです。

古来より日本国内では漢方薬原料が栽培され、良品として取り扱われていました。しかし、現在では、その栽培品目が少なくなりました。漢方薬で使用される生薬の90%は、海外からの輸入品です。輸入依存を脱するために、国内栽培可能な生薬の栽培法の確立は急務です。将来を見据え、生薬を次世代に残し、繋いでいくことに社をあげて取り組んでいます。

2010年に京都府福知山市に1.2haの圃場を開設し、トウキ(当帰)、ミシマサイコ(柴胡)、シャクヤク(芍薬)をはじめ、約30種類の薬用植物を栽培しています。そのほか、高冷地研究圃場も共同栽培を行っています。また、薬用植物の種苗確保、植物特性調査、栽培技術・調製加工法に関する研究、優良品種の育成、契約栽培者・その他栽培関係者への技術指導・協力を行っています。

残す取り組み

Efforts to Preserve

生薬の本来の姿を残すための品種改良と技術開発

生薬に使用される薬用植物は、栽培を重ねるにつれ、他種と交配し、原種から徐々に離れていきます。伝統的に日本で野生品として収穫されていた薬用植物の品質を維持するために、私たちは福知山圃場で純系の薬用植物を残すことに挑戦しています。

こういった取り組みには長い年数とコストがかかりますが、伝統的な漢方薬原料を確保するため、日本固有の歴史がある品種の種苗を守っていきます。

植物特性の調査・研究による、
国産種苗の収量増加と品質向上

トウキの芽くり処理など、植物特性調査にも力を注いでいます。品種ごとに安定した収量と品質を確保するための調査・研究を行っています。
実用化した技術をもって、種苗管理を行い、契約農家に苗を提供しています。日本産の薬用植物の収量が上がり、品質も安定することで、契約農家様と私たちは良好な関係を築いています。

生薬の種苗保存

種苗生産において重点栽培植物であるトウキ、ミシマサイコ、シャクヤク、ボタン、キキョウなどは、毎年1ha分以上の種苗を確保しています。また、自然災害や病虫害の大発生などの不測の事態に備え、−5℃~−25℃の低温での長期保存を実施しています。

繋げる取り組み

Efforts to Connect

契約栽培を手厚くフォロー

契約栽培の開始に際しては、まず福知山圃場にて、栽培の見学と栽培要領の詳しい説明を行います。播種、植え付け、収穫、調製加工などの実地研修も可能なかぎり実施しています。

栽培期間中に問題が発生した場合は迅速に対応するとともに、必要に応じて現地を訪れ、適切な指導・協力を行っています。常に栽培者のフォローアップと栽培技術のレベルアップに努めています。

生薬の栽培から地域活性化を

薬用植物の栽培は漢方業界のみならず、農業関係者からも注目されています。若者が離れる過疎化や高齢化が進む地方部では、耕作放棄農地や休耕地が増える一方です。例えば、そういった農地活用の新しい道として、薬用植物の栽培があります。

薬用植物は地域活性化の活路となりえます。一方、種苗入手の難しさ、栽培技術や指導期間が不足しており、課題もあります。

しかし、昨今では農業と漢方薬学の領域が互いに横断して研究する流れが生まれています。実際に栽培に取り組んでいる農家様からは、人の健康に直接関わる医薬品になる植物を育てているというやりがいを感じられるという声もあります。

種苗と技術を次世代に繋げるための福知山圃場

栃本天海堂の福知山圃場では、各地域に適した植物の選定や優良種苗の共有、栽培指導・研修など、専門知識を活かした技術研究や技術指導に力を入れています。そういった幅広い活動を通して、薬用植物の導入、農業経営の多角化、遊休農地の活用など、地域活性化に努めています。